Web エンジニアの仕事に、ご興味をお持ちですか?
この記事では、Web エンジニアの具体的な仕事内容から、必要なスキル、年収、将来性、そして未経験から目指すためのロードマップまで、あなたの「知りたい」に応える情報を網羅的に解説します。
私たちの生活は、SNS での交流、ネットショッピング、動画視聴など、多くの Web サービスで成り立っています。これらの「当たり前の便利」を裏側で作り、支えているのが Web エンジニアです。
「プログラミングは難しそう…」「自分にもできるかな…」といった不安を感じている方も、ご安心ください。
この記事を最後まで読めば、Web エンジニアという仕事の全体像がスッキリと理解でき、キャリアを考えるための具体的な次の一歩が見えてくるはずです。2025 年の最新情報をもとに、Web エンジニアの世界を紐解いていきましょう。
Web エンジニアは、現代社会の「便利な仕組み」を作る専門家
Web エンジニアとは、一言でいうと「Web 上で動くサービスや仕組みを作る専門家」です。多くの人が日常的に使う Web サイトやアプリは、すべて Web エンジニアの技術によって作られています。
あなたが普段使っている X(旧 Twitter)や Instagram、Amazon や楽天市場などを想像してみてください。私たちが快適に情報を探したり、商品を注文したり、メッセージを送り合ったりできるのは、Web エンジニアが設計・開発したシステムが、24 時間 365 日、休むことなく動き続けているからです。
彼らの仕事は、ただ綺麗な Web ページを作ることだけではありません。
- 膨大なデータを効率よく管理する仕組み(データベース)の設計
- 情報を守るためのセキュリティ対策
- 多くの人が同時にアクセスしても落ちないサーバーの構築
このように、その役割は多岐にわたります。
Web エンジニアとは、私たちの生活を豊かにし、ビジネスを成長させる「便利な仕組み」を創り出す、現代に欠かせないクリエイティブな仕事なのです。
Web エンジニアの主な種類と役割
「Web エンジニア」と一括りにされがちですが、専門分野によっていくつかの種類に分かれます。ここでは代表的な「フロントエンド」「バックエンド」「フルスタック」と、よく混同される「システムエンジニア(SE)」との違いを解説します。
ご自身の興味がどの分野に近いか、考えながら読み進めてみてください。
フロントエンド:ユーザーの目に触れる部分を作る
フロントエンドエンジニアは、Web サービスでユーザーが直接見たり、触ったりする部分(UI:ユーザーインターフェース)のすべてを担当します。サイトの見た目やレイアウト、ボタンを押したときの動きなど、使いやすさ(UX:ユーザー体験)に直結する重要な役割です。
デザイナーが作った設計図をもとに、ブラウザ上で正確に再現し、使いやすいように動きを加えていくのが主な仕事です。
主な使用技術
- HTML : Web ページの骨格を作る言語。
- CSS : 見た目を装飾する言語。
- JavaScript : ページに動きを加えるプログラミング言語。
- React, Vue.jsなど : JavaScript をより効率的に扱うための人気のフレームワーク/ライブラリ。

バックエンド:サービスの裏側(心臓部)を作る
バックエンドエンジニアは、サーバーサイドとも呼ばれ、ユーザーの目には見えないシステムの裏側、いわば「心臓部」を担当します。会員情報の管理、商品の在庫データ処理、決済、投稿内容の保存など、サービスの根幹を担う仕事です。
ユーザーからのリクエストに応じ、データベースから情報を取り出したり、データを処理して結果を返したりするプログラムを作ります。システムの安定稼働やセキュリティに責任を持つ、非常に重要なポジションです。
主な使用技術
Ruby, Python, PHP, Java, Go : サーバー側で動くプログラミング言語。
Ruby on Rails, Django, Laravel など: 開発を効率化する各言語のフレームワーク。
MySQL, PostgreSQLなど: データを保存・管理するデータベース。
AWS, Google Cloudなど: システムの土台となるクラウドサービス。

フルスタック:表も裏もこなす万能エンジニア
フルスタックエンジニアは、フロントエンドとバックエンド、両方のスキルを持ち合わせ、開発全体に関わるエンジニアです。サービスの全体像を一人で把握し、設計から開発、運用までを一貫して担当できます。そのため、特にスタートアップ企業などで重宝される存在です。
両方の領域を深く理解しているため、開発をスムーズに進める潤滑油のような役割も期待されます。高いスキルが求められる分、市場価値も高く、キャリアの選択肢が広いのが特徴です。

システムエンジニア(SE)やプログラマーとの違いは?
担当する世界の広さの違い
Web エンジニア: インターネット上のサービス(Web サイト、アプリなど)を専門に開発します。
システムエンジニア (SE): 企業の会計システムや銀行 ATM など、Web に限らない、より広い情報システム全般を扱います。
Web エンジニアとプログラマーの役割の違い
プログラマー: 設計書通りにコードを書く「実装」に特化した職種です。
Web エンジニア: 「何を作るか」という設計段階から関わり、自分で実装まで行うのが一般的です。Web 業界では、Web エンジニアがプログラマーの役割も兼ねることがほとんどです。

Web エンジニアの具体的な仕事内容と 1 日の流れ
Web エンジニアが日々どんな風に働いているのか、開発プロセスや 1 日のスケジュール例から、より具体的に見ていきましょう。
Web 開発の基本的なプロセス
Web サービスの開発は、一般的に以下の流れで進みます。
- 要件定義: どんなサービスを作るか、どんな機能が必要かをクライアントや企画担当者と話し合い、仕様を決めます。
- 設計: 決まった仕様をもとに、システムの全体像(画面、データの流れ、使用技術など)を考え、設計図を作ります。
- 実装(コーディング): 設計図に沿って、プログラミング言語でコードを書き、機能を作り上げていきます。
- テスト: 作った機能が正しく動くか、不具合(バグ)がないかを様々な角度から検証し、品質を高めます。
- リリース: 完成したサービスを公開し、ユーザーが使える状態にします。
- 運用・保守: リリース後もサービスを安定させるため、サーバーの監視や機能の追加・改善、セキュリティ対策などを行います。
【実例】Web エンジニアのある 1 日
働き方は様々ですが、ここではフレックスタイム制の企業で働く Web エンジニアの 1 日をご紹介します。
9:30 始業: メールやチャット(Slack など)をチェックし、1 日のタスクを整理。
10:00 朝会: チームで今日の作業予定や困っていることを 15 分ほどで共有します。
10:15 開発作業: 集中タイム。音楽を聴きながら新機能のコーディングを進めます。
12:30 ランチ: 自宅で食べたり、お気に入りのお店に行ったり、自由に休憩。
13:30 コードレビュー: 同僚が書いたコードをチェック。より良いコードにするため、お互いに意見を出し合います。
14:30 ミーティング: 新機能の仕様について、デザイナーや企画担当者と打ち合わせ。
15:30 開発作業の再開: ミーティングで決まったことを反映させながら、開発を進めます。
18:30 終業: きりの良いところで作業を終え、日報を書いて退勤します。
リモートワークやフレックスタイムが普及している企業が多く、比較的自由な働き方がしやすいのも Web エンジニアの魅力です。
業界による仕事内容の違い
Web エンジニアが活躍する業界は幅広く、それぞれに特色があります。
SaaS 業界: 法人向けクラウドサービス(会計ソフトなど)を開発。安定性やセキュリティが重視されます。
EC 業界: 通販サイトを開発。大量アクセスや決済処理に耐える高い性能が求められます。
FinTech 業界: キャッシュレス決済など、金融系のサービスを開発。極めて高いセキュリティと正確性が不可欠です。
Web メディア業界: ニュースサイトなどを開発。SEO(検索で上位に表示させる技術)や表示速度が重要になります。
ゲーム業界: ブラウザゲームなどを開発。リアルタイムでの大量通信をさばく技術力が求められます。
Web エンジニアの年収と将来性
キャリアを考える上で、収入と将来性は気になるポイントです。最新のデータと社会背景から、Web エンジニアのリアルな懐事情と未来を解説します。
平均年収は?年収 1000 万円も目指せる?
各種求人情報サイトのデータを見ると、Web エンジニアの平均年収は 550 万円〜650 万円あたりが中心です。日本の平均年収より高い水準にあり、スキルと経験次第でさらに高年収を目指せるのが大きな魅力です。
年収 1000 万円以上を稼ぐエンジニアも決して珍しくありません。高年収へのキャリアパスは、おおよそ以下の通りです。
- ジュニア(〜3 年): 基礎を固め、一人でタスクをこなせるスキルを磨く時期。年収 400〜600 万円。
- ミドル(3〜5 年): チームの中心メンバーとして開発を牽引。年収 600〜800 万円。
- シニア/リード(5 年〜): 技術選定やシステム設計、メンバー育成を担うリーダー。年収 800〜1200 万円。
- 専門家/管理職: 特定技術の第一人者や、組織を率いる CTO など。年収 1200 万円以上。
成長中のベンチャー企業や外資系企業への転職、需要の高いスキル(AI、クラウドなど)の習得により、キャリアアップの速度を上げることも可能です。

AI 時代でも将来性は安泰?
「AI に仕事が奪われるのでは?」という声も聞かれますが、結論としてWeb エンジニアの将来性は非常に高く、需要は今後も拡大していくでしょう。
経済産業省は、2030 年に最大で約 79 万人の IT 人材が不足すると予測しています。社会全体の DX(デジタル化による変革)が進む中で、その担い手である Web エンジニアの価値は増す一方です。
AI は仕事を奪う「脅威」ではなく、生産性を上げる「強力なツール」です。単純な作業を AI に任せることで、エンジニアは「どの技術で、どう課題を解決するか」といった、より創造的な仕事に集中できるようになります。AI を使いこなせるエンジニアは、むしろ市場価値がさらに高まるはずです。
Web エンジニアに求められるスキルセット
第一線で活躍し続けるには、技術力(ハードスキル)と人間力(ソフトスキル)、両方をバランス良く伸ばすことが大切です。
開発の土台となる「ハードスキル」
プログラミング言語: まずはプログラミング言語を 1 つ、深く理解することが重要です(例: フロントエンドなら JavaScript、バックエンドなら Ruby や PHP)。
フレームワーク: 開発を効率化する道具(例: React, Ruby on Rails)。現代の開発では必須です。
データベース: サービスのデータを格納する MySQL などの知識。特にバックエンドで必須となります。
クラウド: AWS や Google Cloud といった、サーバーをインターネット経由で利用するサービスの知識。インフラに強いエンジニアとして価値が高まります。
セキュリティ: 安全なサービスを作る上で、代表的なサイバー攻撃とその対策に関する知識は不可欠です。
バージョン管理: Git/GitHub を使い、チームでスムーズにコードを管理するスキル。今や全エンジニアの必須科目です。
長期的に価値を高める「ソフトスキル」
論理的思考力: 物事を筋道立てて考える力。バグの原因特定やシステムの設計など、あらゆる場面で役立ちます。
問題解決能力: 未知のエラーに直面したとき、自ら原因を調べて解決に導く力。
コミュニケーション能力: チームメンバーと円滑に意思疎通し、協力してプロジェクトを進める力。
学び続ける意欲: IT 業界の技術は日進月歩。常に新しい知識を自主的に学び、自分をアップデートし続ける姿勢が何よりも大切です。
【未経験から OK】Web エンジニアになるための完全ロードマップ
「何から始めればいいの?」という方へ。知識ゼロから Web エンジニアになるための、現実的な 3 ステップをご紹介します。
Step1. 基礎学習:Progate や本で「読み書き」を覚える
まずはプログラミングの基本を固めましょう。ここで挫折しないことが最も重要です。
- 学習サービス: Progateなど、ゲーム感覚で学べるサイトがおすすめです。手を動かしながら、HTML/CSS や JavaScript などの基本を学びましょう。
- 書籍: 体系的な知識を学ぶには本も有効です。『リーダブルコード』など、多くのエンジニアに読まれる定番書から始めてみましょう。
Step2. 実践学習:簡単なアプリを作ってみる
基礎を学んだだけでは、知識はまだ点の状態です。実際に動くものを作ることで、知識を「使えるスキル」に変えていきましょう。
チュートリアルを参考に、簡単な掲示板や ToDo リストなどを作ってみてください。エラーと格闘しながら完成させた経験は、知識を定着させ、大きな自信に繋がります。
Step3. ポートフォリオ制作:自分のスキルを「証明」する
転職活動で、あなたのスキルを何よりも証明してくれるのが「ポートフォリオ(自作のサービス)」です。
チュートリアルを真似るだけでなく、自分なりのオリジナル機能を加えた Web アプリを 1 つ以上、完成させましょう。そして「なぜこの技術を選んだか」「どこを工夫したか」「どう問題を解決したか」を自分の言葉で説明できるようにしておくことが重要です。
GitHub(コードを公開するサービス)でソースコードを公開することも忘れないでください。採用担当者は、完成品だけでなく、その開発プロセスも見ています。
Web エンジニアのその後のキャリアパス
Web エンジニアになった後も、道は一つではありません。あなたの興味や強みに応じて、様々なキャリアを築くことができます。
① 技術を極める「スペシャリスト」
特定の技術分野を追求し、第一人者として活躍する道です(例: フロントエンドの専門家、クラウドの達人など)。技術でチームを牽引するテックリードや IT アーキテクトといった役職を目指します。
② 組織を動かす「マネジメント」
技術力に加えて、チームやプロジェクト、事業の成功に責任を持つ道です。プロジェクトの進捗を管理する「プロジェクトマネージャー(PM)」や、エンジニア組織を率いる「エンジニアリングマネージャー(EM)」などがあります。
③ 独立や他職種への「多様な」道
会社に所属せず、フリーランスとして独立する働き方もあります。また、培った技術知識を活かし、顧客の課題を解決する「IT コンサルタント」や、自社製品の技術的な魅力を伝える「セールスエンジニア」などに転身する道も考えられます。
Web エンジニアに関する Q&A
最後に、多くの方が抱く疑問にお答えします。
- パソコンは Mac と Windows、どちらが良い?
-
結論、どちらでも開発できます。
最初は今お持ちの PC で問題ありません。Web 業界では Mac ユーザーが多い傾向にあるため、もし新規で購入するなら Mac を選ぶと、インターネット上で情報を見つけやすいというメリットがあります。
- 文系出身やプログラミング未経験でもなれますか?
-
はい、全く問題ありません。
Web エンジニアに重要なのは、文系・理系に関係なく鍛えられる「論理的思考力」です。大切なのは、学び続ける意欲です。
- 30 代・40 代からでも目指せますか?
-
はい、可能です。
これまでの社会人経験が大きな武器になります。例えば、前職の業界知識やマネジメント経験は、Web エンジニアとして働く上で大きな強みとなります。
- 「激務」というイメージは本当ですか?
-
企業によりますが、かつての過酷な労働環境は、特に Web 業界では大きく改善されています。
多くの企業がワークライフバランスを重視しており、リモートワークなども普及しています。ただし、製品リリースの前など、一時的に忙しくなる時期はあります。
- 転職に資格は必要ですか?
-
必須ではありません。
資格よりも「何を作れるか」という実践的なスキル(ポートフォリオ)が重視されます。知識を体系的に学ぶ、あるいはクラウドの知識を証明する目的で、基本情報技術者試験や AWS 認定資格などを取得するのは有効です。
まとめ
この記事では、Web エンジニアの仕事内容から年収、将来性、そして未経験から目指すための具体的な方法まで、幅広く解説しました。
Web エンジニアは、自分の技術でアイデアを形にし、世の中を便利にできる、非常にクリエイティブでやりがいの大きい仕事です。その需要と将来性は、AI が進化する現代において、ますます高まっています。
この記事が、あなたのキャリアを広げ、新たな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。まずは今日のロードマップの Step1 から、始めてみてはいかがでしょうか。