IT 業界を中心に、専門知識とコミュニケーション能力を武器に顧客を成功へ導く「セールスエンジニア」の重要性が高まっています。多くのビジネスパーソンにとって、非常に魅力的なキャリアの一つです。
しかし、「具体的な仕事内容は?」「営業や SE とは何が違う?」「本当に高い年収を狙える?」「AI に仕事は奪われない?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では、2025 年の最新情報に基づき、セールスエンジニアの基本的な役割から具体的な仕事内容、必要なスキル、リアルな年収、そして AI 時代の将来性まで徹底的に解説します。
今のキャリアに限界を感じている方や、専門性を高めてキャリアアップしたい方にとって、この記事が新たな道を切り拓くきっかけになれば幸いです。
そもそもセールスエンジニアとは?技術と営業のスキルで顧客を導く専門職
セールスエンジニアとは、「技術的な知識を駆使して営業活動をサポートし、顧客の課題を解決する専門職」です。プリセールスやソリューションアーキテクトなどと呼ばれることもあります。
一般的な営業職が「何を売るか(What)」に注目するのに対し、セールスエンジニアは「技術を使って、どう課題を解決するか(How)」を追求します。自社製品やサービスへの深い知見を基に、顧客が抱える複雑な課題をヒアリングし、最適な技術的解決策を提案。そして、導入から活用定着までを技術的に支援するのが主な役割です。
まさに、ビジネスサイドの「営業」と開発サイドの「エンジニア」をつなぎ、両者の言葉を翻訳しながらプロジェクトを進める「架け橋」のような存在です。
なぜ今、セールスエンジニアが重要なのか?
近年、セールスエンジニアの価値がかつてないほど高まっています。その背景には、ビジネス環境における 2 つの大きな変化があります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速
あらゆる企業がビジネス変革を迫られる中、クラウドや AI、IoT といった高度な技術の導入が欠かせません。しかし、「どの技術を、どう使えば自社の課題を解決できるのか」を判断できる人材は多くの企業で不足しています。ここに、ビジネスと技術の両方を理解するセールスエンジニアの活躍の場があります。彼らは複雑な技術を顧客のビジネスに合わせて説明し、DX 推進のキーパーソンとなっています。
SaaS ビジネスの普及
「所有から利用へ」という流れの中で、月額課金制の SaaS(Software as a Service)がビジネスの主流になりました。SaaS ビジネスの成功は、製品を一度売って終わりではなく、顧客がサービスを使い続けて成功を実感すること(カスタマーサクセス)にかかっています。セールスエンジニアは、契約前の段階で顧客に最適な活用法を提案し、スムーズな導入を実現することで、顧客との長期的な信頼関係を築くという非常に重要な役割を担っています。
このように、テクノロジーが複雑化し、ビジネスモデルが変化し続ける現代において、技術とビジネスの架け橋となるセールスエンジニアは、企業と顧客の双方にとって不可欠な存在なのです。
【実例】セールスエンジニアの具体的な仕事内容と一日の流れ
セールスエンジニアの役割をより深く理解するため、具体的な業務内容と一日の働き方の例を見ていきましょう。
提案から導入後まで伴走する 4 つのステップ
セールスエンジニアの仕事は、商談の進み具合に合わせて、大きく 4 つの業務に分けられます。
- 技術提案・デモンストレーション
営業担当者と顧客先を訪問し、専門家の立場から製品やサービスを技術的に説明します。顧客の課題やニーズを深くヒアリングし、その場で技術的な質問に回答。ヒアリング内容に基づき、顧客の環境に合わせた最適な構成や活用法を提案し、製品のデモを見せることで、導入後のイメージを具体的にしてもらいます。 - 導入支援(インプリメンテーション)
受注が決まった後、製品やサービスが顧客の環境で問題なく動くように技術的なサポートをします。システム設定や既存システムとの連携、トラブル対応などを担当し、導入プロジェクトがスムーズに進むよう管理します。この段階での丁寧なサポートが、後の顧客満足度に直結します。 - アフターフォロー・追加提案
導入後も、顧客が製品を最大限に活用できるよう継続的にサポートします。定期的な打ち合わせで利用状況を確認し、新たな課題が見つかれば、アップセル(上位プランへの移行)やクロスセル(別製品の購入)につながる追加提案を行います。 - 社内(営業・開発)との連携
顧客から得た技術的なフィードバックや市場のニーズを開発部門に伝え、製品改善や新機能開発に貢献します。また、営業担当者向けの技術トレーニングや、提案資料作成のサポートなど、チーム全体の提案力を高める役割も担います。
【商材別】SaaS vs ハードウェア。働き方の違い
セールスエンジニアが扱う商材によって、働き方には次のような違いがあります。
比較項目 | SaaS セールスエンジニア | ハードウェアセールスエンジニア |
---|---|---|
提案内容 | ソフトウェア機能、API 連携、セキュリティ、他サービスとの組み合わせによる課題解決策 | 機器のスペック、物理的な設置、耐久性、保守・運用体制 |
セールスサイクル | 比較的短い(数週間〜数ヶ月) | 比較的長い(数ヶ月〜数年) |
顧客との関わり | 導入後も継続的な活用支援(CS との連携)が重要 | 導入時の設置や設定、その後の保守・メンテナンスが中心 |
働き方の特徴 | リモートワークが中心になりやすい。PoC(概念実証)もクラウド上で行う | 現場での設置・検証作業が多く、物理的な出張を伴うことが多い |
あるセールスエンジニアの一日のスケジュール例
時間 | 業務内容 |
---|---|
9:00 - 9:30 | 朝礼・メールチェック チームで進捗を共有。担当顧客からの技術的な問い合わせメールに対応。 |
9:30 - 10:30 | 営業との打ち合わせ 午後に訪問する A 社との商談に向け、提案内容の最終確認とデモの役割分担を決める。 |
10:30 - 12:00 | 提案資料作成 来週提案予定の B 社向けに、ヒアリング内容を基にした提案書と構成図を作成。 |
12:00 - 13:00 | ランチ |
13:00 - 15:00 | 顧客訪問(A 社) 営業担当と A 社を訪問。製品デモを行い、導入後の技術的な懸念点について質疑応答。 |
15:00 - 16:00 | 移動・議事録作成 オフィスに戻り、A 社との打ち合わせ内容を議事録にまとめ、関係者に共有。 |
16:00 - 18:30 | 開発部門との連携ミーティング 顧客から要望のあった新機能について、実現可能か、開発にどれくらいかかるかを開発チームと協議。 |
ここが違う!セールスエンジニアと関連職種を徹底比較
セールスエンジニアという仕事をより深く知るために、混同されやすい「営業」「SE」「カスタマーサクセス」との違いを解説します。
セールスエンジニア | 営業職 | SE(システムエンジニア) | カスタマーサクセス | |
---|---|---|---|---|
ミッション | 技術力で受注を後押しし、顧客の課題を解決する | 契約を獲得し、売上目標を達成する | システムを設計・開発・構築する | 顧客の成功を支援し、LTV(顧客生涯価値)を最大化する |
関わるフェーズ | 契約前〜導入 | 契約前 | 受注後〜納品 | 契約後〜 |
必要なスキル | 技術知識、課題ヒアリング力、提案力 | 交渉力、関係構築力、目標達成意欲 | プログラミング、設計力、プロジェクト管理能力 | 活用支援力、分析力、コミュニケーション能力 |
評価指標(KPI 例) | 受注貢献数、提案の成約率、技術的な案件創出数 | 売上高、新規契約数、利益率 | 納期遵守率、品質、開発工数 | 契約更新率、解約率、アップセル/クロスセル数 |
営業職との違い:技術的な裏付けによる提案の質
営業職との最大の違いは、「技術的な裏付け」があるかどうかです。営業が顧客との関係構築やニーズの掘り起こしに注力するのに対し、セールスエンジニアは、そのニーズに対して「技術的に何ができるか」を判断し、具体的で信頼性の高い解決策を設計します。これにより、「できない約束」を防ぎ、提案全体の質と説得力を高めます。
SE(システムエンジニア)との違い:ビジネスの成果への貢献
SE との違いは、顧客との距離とビジネスへの関わり方です。SE が主に社内で要件定義書をもとにシステムを「作る」ことに集中するのに対し、セールスエンジニアは顧客と直接対話し、「技術がどのようにビジネス課題を解決し、利益に貢献するか」という視点で活動します。技術をビジネスの価値に変える役割を担う点が大きな違いです。

カスタマーサクセスとの違い:契約前の役割
近年重要視されるカスタマーサクセス(CS)との違いは、顧客と関わるタイミングです。セールスエンジニアは主に契約「前」から顧客に関わり、最適な解決策を提案してスムーズな導入を支援します。一方、カスタマーサクセスは主に契約「後」に顧客に関わり、製品やサービスの活用を促して成功へ導き、契約の継続や追加購入を促進します。両者は連携し、「顧客の成功」という共通のゴールを目指します。
セールスエンジニアの年収は高い?最新データと年収 1,000 万円を目指すキャリア戦略
キャリアを考える上で、年収は重要な要素です。セールスエンジニアは専門性が高いため、一般的に高い年収が期待できます。
年代・経験別の平均年収
各種求人サイトのデータをまとめると、セールスエンジニアの平均年収は約 600 万円〜800 万円が目安です。これは、日本の平均給与と比べても高い水準です。
20 代: 未経験スタートで 400 万円台から。経験やスキル次第で 500 万~ 600 万円以上も可能です。
30 代: チームの主力として活躍する年代。600 万円~ 900 万円が中心で、リーダーやマネージャーになれば 1,000 万円を超えるケースも出てきます。
40 代以降: 高度な専門性やマネジメント経験を持つシニア層では、年収 1,000 万円以上が現実的な目標になります。特定の業界や技術に精通したスペシャリストは特に高く評価されます。
給与は、扱う商材の単価や企業の規模、特に外資系か日系かによっても大きく変わります。
年収 1,000 万円を超えるための 3 つの条件
セールスエンジニアとして年収 1,000 万円以上を目指すには、戦略的なキャリアプランが重要です。高年収を得ている人材には、主に次の 3 つの共通点があります。
- 特定分野での圧倒的な専門性
クラウド(AWS/Azure/GCP)、サイバーセキュリティ、AI/機械学習、特定の業務 SaaS(例: Salesforce)など、需要が高く専門知識が求められる分野でトップクラスの専門性を築くことが高年収への近道です。常に最新技術を学び、資格を取得して市場価値を客観的に示しましょう。 - マネジメントスキルとビジネス視点
一人のプレイヤーとしてだけでなく、チームを率いて成果を最大化するマネジメント能力を身につけると、キャリアの幅が大きく広がります。また、技術説明だけでなく、ROI(投資対効果)など、経営層を納得させられるビジネスの言葉で提案できる能力は、より重要なポジションを任される上で不可欠です。 - 外資系企業への転職
実力主義の外資系 IT 企業は、日系企業より給与水準が高い傾向があります。世界的にシェアの高い製品を扱う企業では、成果報酬(インセンティブ)の割合も高く、成果次第で年収を大きく伸ばせる可能性があります。高い語学力(特に英語)が求められますが、非常に大きなリターンが期待できる選択肢です。

活躍の鍵!セールスエンジニアに求められる必須スキル
セールスエンジニアとして長く活躍するには、次の 3 つのスキルをバランス良く高める必要があります。
テクニカルスキル:製品知識+ α(クラウド・セキュリティ)
自社製品への深い理解: 顧客のあらゆる技術的な質問に即答できるレベルの知識は、信頼の基本です。仕様だけでなく、開発の背景まで理解しているのが理想です。
周辺技術の幅広い知識: 現代の IT システムは、一つの製品だけで完結しません。特にクラウド(AWS, Azure, GCP)やセキュリティの基礎知識は、どんな商材を扱う上でも必須です。API 連携やネットワーク、データベースの知識も提案の幅を広げます。
ソフトスキル:課題を深く聞く力と分かりやすく語る力
課題ヒアリング力: 顧客自身も気づいていない課題や「本当に解決したいこと」を会話から引き出す能力です。「何に困っているか」だけでなく、「なぜ困っているのか」「解決してどうなりたいのか」まで深掘りすることが、価値ある提案につながります。
ストーリーテリング能力: 技術スペックを並べるだけでは、相手の心は動きません。その技術が「どのように顧客のビジネスを変え、未来を良くするのか」というストーリーで語る力が重要です。専門用語を避け、相手が共感できる言葉で伝えるプレゼン能力が求められます。
ビジネススキル:課題解決の提案力と業界知識
課題解決提案力: ヒアリングした課題と自社の技術を結びつけ、費用対効果まで含めて最適な解決策を論理的に組み立てる能力です。複数の選択肢を示し、それぞれのメリット・デメリットを分かりやすく説明する力が求められます。
担当業界への深い理解: 金融、製造、医療、小売など、顧客の業界特有のビジネスモデルや慣習、専門用語、法律などを理解することで、より具体的で説得力のある提案ができます。「IT のプロ」であると同時に、「顧客業界のプロ」を目指す姿勢が、他の担当者との差を生みます。
やりがいは?きつい?セールスエンジニアの本音
どんな仕事にも光と影があるように、セールスエンジニアにも大きなやりがいと大変さがあります。
この仕事で得られる 3 つの大きな「やりがい」
- 顧客からの直接的な感謝
自分の技術提案で顧客の長年の課題が解決した時、「〇〇さんのおかげで仕事が本当に楽になりました。ありがとう」といった言葉を直接もらえる機会が多く、大きなやりがいになります。 - 難しい課題を解決する達成感
技術とビジネスの両面から複雑なパズルを解くような、知的好奇心を刺激される仕事です。難しい案件をチームで乗り越え、無事に導入を終えた時の達成感は格別です。 - 自分の市場価値が上がる実感
最先端の技術に触れ、多様な業界の課題解決に関わる中で、技術とビジネスの両方のスキルが高速で身につきます。日々、自分の成長と市場価値が高まっていくのを実感できるのは大きな喜びです。
乗り越えるべき 3 つの「大変さ」と対処法
- 顧客と開発の「板挟み」
顧客からは「もっと安く、早く、この機能を追加してほしい」と要求され、開発からは「リソースがない、技術的に無理だ」と言われる。両者の間で調整役に徹しなければならない場面は少なくありません。- 対処法: 双方の意見を正確に理解し、代わりの案を提示するなど、冷静かつ論理的なコミュニケーションを心がけることが重要です。
- 常に学び続ける必要がある
IT 業界の技術進化は非常に速く、常に新しい知識を学び続けなければ、すぐに価値を発揮できなくなります。業務時間外での自己学習が欠かせず、知的好奇心がないと辛く感じるかもしれません。- 対処法: 学習を「義務」ではなく「楽しみ」と捉えること。勉強会やコミュニティに参加し、仲間と情報交換するのも効果的です。
- 成果へのプレッシャー
営業目標(売上)の一部を担うため、成果に対するプレッシャーは常にあります。特に大型案件や競合との競争では、精神的な負担が大きくなることもあります。- 対処法: 一人で抱え込まず、営業担当や上司、チームメンバーと密に連携し、組織として成果を出す意識を持つことが大切です。
セールスエンジニアになるには?未経験からの転職ロードマップ
セールスエンジニアは未経験から目指すのは簡単ではありませんが、特定の職種からのキャリアチェンジは十分に可能です。
未経験からのキャリアチェンジ:技術職 or 営業職
【技術職(SE・インフラエンジニアなど)からのルート】
すでに技術的な知識があるため、最も一般的なキャリアパスです。
- 強み: 深い技術知識、システム構成の理解力。
- 補うべきスキル: コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、課題ヒアリング力。
- ステップ:
- 現職で、顧客と話す機会を積極的に作る。
- 社内の営業担当者に同行させてもらう。
- プレゼンやビジネス関連の研修などでソフトスキルを学ぶ。
【営業職(特に IT 業界)からのルート】
顧客とのコミュニケーション能力や課題を把握する能力が強みになります。
- 強み: 高いコミュニケーション能力、交渉力、顧客視点。
- 補うべきスキル: 製品に関する深い技術知識、クラウドやセキュリティなどの IT 基礎知識。
- ステップ:
- IT パスポートや基本情報技術者試験などの資格を取り、基礎知識を体系的に学ぶ。
- 自社のエンジニアと積極的に交流し、技術的な知識を吸収する。
- AWS 認定資格など、クラウド系の資格取得を目指す。

【転職者必見】面接で差がつく志望動機と逆質問
面接では、「なぜセールスエンジニアなのか?」を自分の経験と結びつけて語ることが重要です。
良い志望動機の例(エンジニア出身)
「SE として開発に携わる中で、顧客の本当の課題が要件に反映されていないと感じることが多くありました。自分の技術知識を活かし、より上流の提案段階から関わることで、技術を本当の意味でビジネスの価値に変えたいと考え、セールスエンジニアを志望しました。」
良い志望動機の例(営業出身)
「IT 製品の営業として、機能説明だけでは顧客の心を動かせないという壁にぶつかりました。より深い技術的な知識を身につけ、自信を持って顧客の課題解決をリードできる存在になりたいと考え、セールスエンジニアという専門職に挑戦したいです。」
効果的な逆質問は、あなたの入社意欲と能力を示すチャンスです。
- 「貴社で活躍されているセールスエンジニアの方に、共通するスキルや考え方はありますか?」
- 「入社後、いち早く成果を出すために、どのような知識を勉強しておくべきでしょうか?」
- 「セールスエンジニアチームとして、今後特に力を入れていく技術領域や業界はありますか?」
セールスエンジニア経験後の多様なキャリアパス
セールスエンジニアとして経験を積むと、その後のキャリアパスは非常に多彩です。
スペシャリスト: 特定技術の第一人者として、さらに専門性を追求する。
セールスマネージャー: チームを率い、営業戦略を担う。
プロダクトマネージャー: 顧客の声を製品開発に活かし、製品の未来を描く。
IT コンサルタント: 特定の企業に属さず、中立的な立場で企業の IT 戦略を支援する。
独立・起業: 自分のスキルと人脈を活かし、フリーランスとして独立する。
AI に仕事は奪われる?セールスエンジニアの将来性
「AI の進化で、セールスエンジニアの仕事はなくなるのでは?」という声を聞くことがあります。結論から言うと、その心配は不要です。むしろ、AI はセールスエンジニアにとって「強力な武器」になります。
AI は脅威ではなく「強力な武器」になる理由
AI、特に生成 AI は、セールスエンジニアの業務の一部を効率化してくれます。
- 提案書のたたき台作成
- 議事録の要約
- 技術情報のリサーチ
- サンプルコードの生成
こうした定型的な作業を AI に任せることで、セールスエンジニアは、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。それは、顧客との対話を通じて信頼関係を築き、潜在的な課題を深く理解し、最適な解決策を「構想」するといった、人間にしかできない高度な仕事です。
今後求められる「ビジネス価値(ROI)」を語れるエンジニア
AI 時代にさらに価値を高めるセールスエンジニアは、「ビジネスの価値を語れるエンジニア」です。単に「この製品にはこんな機能があります」と説明するだけでは、AI に代わられてしまうかもしれません。
これからは、「この技術を導入すれば、御社のコストが年間〇〇円削減でき、ROI(投資対効果)は〇〇%になります」というように、技術が顧客の経営にどんなプラスの影響を与えるかを具体的に語る能力が、決定的に重要になります。
これは、より IT コンサルタントに近い役割であり、顧客のビジネスパートナーとして深く関わる、より戦略的な存在へと進化していくことを意味します。
セールスエンジニアに関するよくある質問(FAQ)
- 文系出身でもセールスエンジニアになれますか?
-
はい、なれます。
特に IT 業界の営業経験があり、顧客とのコミュニケーション能力が高い方なら、入社後の研修や自己学習で技術知識を身につけることで十分に活躍できます。論理的思考力と学ぶ意欲が何よりも重要です。
- 英語力は必要ですか?
-
必須ではありませんが、あるとキャリアの選択肢が格段に広がります。
最新の技術情報は英語で発信されることが多いため、情報収集に有利です。また、高年収が期待できる外資系企業への転職を考えるなら、ビジネスレベルの英語力が求められます。
- ワークライフバランスは取りやすいですか?
-
会社や担当案件によりますが、比較的調整しやすい職種です。
リモートワークを導入している企業も多く、柔軟に働けます。ただし、大規模プロジェクトの終盤や、トラブル発生時には一時的に忙しくなることもあります。
まとめ
最後に、この記事の要点を振り返ります。
セールスエンジニアは、技術と営業のスキルを併せ持ち、顧客の課題解決をリードする専門職。
DX や SaaS ビジネスの普及を背景に、その重要性はますます高まっている。
仕事は、技術提案、導入支援、アフターフォロー、社内連携と多岐にわたる。
平均年収は600 万~ 800 万円と高水準で、専門性、マネジメントスキル、外資系への挑戦で 1,000 万円以上も狙える。
テクニカル、ソフト、ビジネスの 3 つのスキルをバランス良く磨くことが成功の鍵。
未経験からは、エンジニア職やIT 営業職からのキャリアチェンジが現実的。
AIは仕事を奪うものではなく、業務を効率化する強力な武器になる。
これからは「ビジネス価値(ROI)」を語れる、よりコンサルティング能力の高い人材が求められる。
セールスエンジニアは、変化の激しい時代に自分の市場価値を高めながら、顧客や社会に大きく貢献できる、非常にやりがいのある仕事です。この記事が、あなたの次の一歩を考えるきっかけになれば嬉しく思います。